共有持分に担保設定はできる?設定方法や費用を解説!
2024.09.27
目次
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はじめに
不動産を共有持分で所有している方も多いと思います。所有している持分について、何ができて何ができないのでしょうか。
共有持分を担保にして融資を受けたり、住宅ローンを利用したりということは可能なのでしょうか。
このように、共有持分に関する様々な疑問を持っている方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、
◆共有持分を担保に設定できるのか
◆共有持分所有でできること
◆共有持分の抵当権について
を解説します。また、担保設定においての費用や注意点も説明しますので、ぜひ参考にしてください。
共有持分に担保を設定したい!
結論から言いますと、共有持分を担保にすることは可能です。
自分の共有持分のみに抵当権を設定したい場合、他の共有者からの同意を得る必要はありません。
しかし、債務不履行になって抵当権が実行されることになった場合、他の共有者にも影響を与えることになります。
抵当権が実行されると、金融機関が裁判所に担保となっている不動産の差し押さえを申し立てます。その後、裁判所が不動産を差し押さえ、強制的に売却します。
この場合、抵当権を設定していない他の共有者は競売で落札した第3者と不動産を共有する事となります。
不動産の利用状況によって、他の共有者は多大な影響を受ける可能性があります。そのため、共有持分に抵当権を設定したいときは、他の共有者に相談するようにしてください。
抵当権を設定されるなら他の共有者が買取を申し出て来る場合や、金銭を融通してくれる可能性もあると思います。
抵当権の設定以外に共有持分所有で出来ることは?
先ほど、共有持分に抵当権を設定できるが、設定する前には他の共有者に相談した方がいい、ということを説明しました。
では、共有持分の所有で他にできることには何があるのでしょうか。
◆通常使用
不動産全体の半分しか所有していない、というような場合でも、不動産を通常使用できます。例えば共有者である親は別の所に住んでいて、共有者である子供のみが不動産に住む場合等です。
ただし、賃料のやり取りをする、使用貸借(無償での賃貸)にする等、取り決めをする必要はあります。
◆維持のための修繕
不動産は、築年数の経過とともに経年劣化が生じます。この経年劣化に対する修繕は、共有持分に関係なく単独で行えます。
後述しますがリフォームは出来ませんので注意が必要です。
ただし、修繕後にかかった費用を他の共有者に請求する、という場合には、事前に修繕を行う旨を相談しておかないとトラブルに発展しかねません。修繕前に、他の共有者に相談するようにしましょう。
◆持分の売却
共有持分を他者に売却する行為も、単独で行えます。
しかし、不動産の一部のみ購入したい、という方は少ないです。そのため、共有持分を売却したい、というときは不動産買取専門の会社に相談する、他の共有者に自分の持分を購入してもらう、などの方法を取るようにしましょう。
共有持分を売却する際には、印紙税などの諸費用が発生します。
また、売却によって利益が発生した場合には、その利益を譲渡所得と呼び、譲渡所得税がかかります。それぞれの費用は以下の通りです。
・登記費用:3万円前後(ご本人の氏名や住所を変更する必要がある場合のみ)
・印紙税:売却額によって変わります(売却額1000万円の場合は5千円)
・譲渡所得税:所有期間が5年を超える場合は譲渡所得の約20%、5年以下の場合は約40%
◆賃貸物件としての貸し出し
不動産の利用者がおらず、空き家になっている場合、賃貸として活用したい、と考える方もいらっしゃるでしょう。
このような利用行為は、単独では行えません。共有者の過半数の同意が必要になります。
この場合、過半数というのは共有者の人数ではなく、持分割合による過半数なので、注意しましょう。
◆リフォーム
先ほど、経年劣化の修繕は単独で行えると紹介しましたが、リフォーム(変更を加える行為)は単独では行えません。
玄関先にスロープを設置したり、キッチンの場所を変更したり、というような外観・内観上の変化が大きく、多額の費用がかかるリフォームは、共有者過半数の同意が必要です。
◆処分行為
不動産全体の売却や解体などの処分行為には、共有者全員の同意が必要です。ただし、自分の持分のみを売却したい、という場合は単独で行えます。
共有持分に抵当権を設定するには?
共有持分に抵当権を設定できる、ということは分かっていただけたかと思いますが、実際どのように設定するのでしょうか。
共有持分への抵当権の設定には、以下の3つのステップがあります。
ステップ1.債権者にあたる金融機関と金銭消費貸借契約を締結
ステップ2.抵当権設定契約を締結
(ステップ1.2の契約を合わせて、金銭消費貸借契約書兼抵当権設定契約書となっている場合もあります。)
※抵当権を設定することで、返済が滞った場合に金融機関が裁判所に抵当権を設定した不動産の差し押さえを申請します。不動産が差し押さえられたら強制的に売却され、返済できなかった債権の回収に充てられますのでご注意ください。
ステップ3.法務局で登記申請を行う
通常、金融機関が指定した司法書士が行いますので指示に従います。登記申請には、下記の3つの書類が必要となります。
・抵当権設定契約証書
・発行3か月以内の印鑑証明書
・免許証や住民票などの本人確認書類
登記申請は法務局の窓口、もしくはオンラインで司法書士が行います。書類内容は盲信せずご自身でもご確認ください。
抵当権の設定は個人でも理屈上行えますが、債権者側が許可しません。(抵当権設定登記が不備により行えないと債権者側が権利保全出来ない為)
そのため、通常債権者側の司法書士が行います。
抵当権の設定にかかる費用は?
抵当権の設定には、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。
必ずかかるのは、設定登記の際にかかる、『登録免許税』です。
ローン額の0.4%が納税額になります。(抵当権では無く、根抵当権の場合にはローン額以上の金額×0.4%が納税額となります。この差はまた別の機会に記載させていただきます)
また、司法書士に『抵当権の設定報酬』を支払う必要があります。報酬は、2万円から10万円です。地域や借入をする金融機関によって異なります。
他にも、印鑑証明の発行手数料といった諸費用で1000円前後かかります。
共有持分の一部には設定できません!
共有持分に対する抵当権の設定について説明してきました。
注意点として、「共有持分の一部」への抵当権設定はできません。
抵当権は、対象物「全体」に設定します。
そのため、共有持分の一部、例えば2分の1を所有していた場合に4分の1だけに抵当権設定をする事は出来ず2分の1にのみ抵当権設定する事となります。
また、これは単独名義で持っている不動産にも同じことがいえます。所有している不動産の一部に抵当権を設定する、ということもできません。
まとめ
共有持分を所有する人が単独でできることは、通常使用、維持のための修繕、抵当権の設定です。
不動産全体を生活しやすいようにリフォームしたい、賃貸として活用したい、売却して現金化したい、などの場合は他の共有者の同意が必要となります。勝手に行うとトラブルに発展してしまうので、単独判断で行わないようにしましょう。
また、抵当権の設定は単独で行えますが、他の共有者の持分にも影響を与えます。そのため、共有持分に抵当権を設定したい場合は事前に他の共有者に相談するようにしましょう。
そして、抵当権は対象物全体に設定されます。持分の一部にのみ抵当権を設定する、ということはできませんので、注意してください。
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