共有持分と区分所有とは?それぞれの違いについて解説します!
2023.09.27
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はじめに
不動産を所有する際は、単独での所有はもちろん、複数人で所有も可能です。
共有で不動産を所有する方法として、『共有持分』と『区分所有』があります。
一般的に、一つの不動産を複数人で所有するには『共有持分』、マンションのように一つの不動産を複数に分けて所有するには『区分所有』が使われます。
では、具体的にこの2つにはどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、共有持分と区分所有について詳しく解説し、その違いを確認します。
また、区分所有で所有する不動産に対して持つ権利についても説明しますので、ぜひ参考にしてください。
『共有持分』とは?詳しく解説!
複数人で共有名義にて所有する不動産のことを、共有物といいます。
この共有物について、それぞれの共有者の持分のことを『共有持分』といいます。
夫婦で一戸建てを購入したり、不動産を兄弟で相続したりする際に、共有持分で不動産を所有することが多いです。
共有持分で所有している不動産には、単独でできることとできないことがあります。
◆単独でできること
共有持分で一部だけ所有している不動産への居住、不動産の価値を守るための”修繕”は、他の共有者の同意なく行えます。
ただし、修繕を単独で行い、その後かかった費用を他の共有者に請求する、となるとトラブルにつながることもあります。費用が高くなる可能性がある修繕の場合、事前に他の共有者に相談した方がいいでしょう。
◆共有者の同意が必要なこと
リフォームや、不動産を賃貸として利用したい場合は、「共有者の過半数」の同意が必要です。この場合の「共有者の過半数」とは、共有者の人数ではなく、共有持分の割合で考えた過半数を指します。
では、”リフォーム”と”修繕”の区別はどうしたらいいか、という疑問を持たれる方もいるでしょう。
単独でできる修繕は、あくまで不動産の価値を下げない現状維持のために行われます。リフォームは、玄関に手すりを付ける、キッチンを新しくする、というように多額の費用をかけて外観・内観を変えます。
では、リフォームにかかる費用、不動産を賃貸にすることで得た報酬、はどのように分配されるのでしょうか。
リフォームにかかる費用の負担割合は、共有持分の割合に応じて支払義務が生じます。同様に、賃貸として不動産を貸し出す場合にも、家賃収入は共有持分の割合に応じて分配されます。
そして、売却や取り壊しなどの不動産の処分を行いたい場合は、「共有者全員」の同意が必要です。
『区分所有』とは?詳しく解説!
分譲マンションのような、2つ以上の部屋に区切られた建物の1部屋を所有することを『区分所有』といいます。
そして、区分所有している人のことを区分所有者と呼びます。区分所有になっている建物全体のことを区分所有建物と呼び、『共有部分』と『専有部分』に分けられます。
『共有部分』とは、区分所有者全員が使用できる場所のことで、階段やエレベーター、エントランスがこれに該当します。
『専有部分』は、それぞれの部屋のことです。
共有部分と専有部分について、勘違いされやすい部分について説明します。
それが、壁・天井・床、です。
隣の部屋や上の部屋の境界となるこの部分は共有部分です。ただし、床材や壁紙は専有部分となります。壁、天井、床と同じ考え方で、窓や玄関ドアも共有部分です。
さらに、バルコニーやベランダも、実は共有部分です。
他の区分所有者は使用できない場所なので専有部分ではないか、と思われる方が多いでしょう。しかし、避難経路になるため共有部分としているマンションが多いです。
ただ、通常はほかの区分所有者は使用できないため、「専用使用部分」と呼ばれます。
バルコニー以外にも、インターホンや玄関ポーチ、室内の火災報知器なども専用使用部分に当てはまります。
専用使用部分に関しては、補修やリフォームにかかる費用を管理側が負担するのか、区分所有者が負担するのかはマンションによって異なります。そのため、管理規約を見てどちらの負担になるのか確認しておきましょう。
共有持分と区分所有の違いは?具体的に紹介!
『共有持分』と『区分所有』の一番の違いは、対象としている不動産の違いです。
『共有持分』は、1つの不動産(土地・建物)を複数人で所有している状態です。
『区分所有』は1棟の不動産(建物に限る)を複数に区分し、それぞれに対して独立した所有権がある状態です。区分所有は、区分された建物各部分に別個の所有権が成立しています。
しかし、マンション各室にそれぞれ所有権があり、その部屋の所有権を複数人で所有すれば、それは『共有持分』となります。
区分所有の3つの権利について
区分所有者は、区分所有建物について3つの権利を持っています。
1.専有部分の所有権
2.共有部分の共有持分
3.土地の共有持分(又は賃借権の準共有持分)
1.専有部分の所有権
専有部分は簡単に言うと住居部分のことで、天井、壁、床に囲まれた内部空間を指します。先ほども説明したように、バルコニーや玄関ドア、窓は専有部分ではなく、専用使用部分になります。
2.共有部分の共有持分
共有部分は、エントランスや階段、エレベーターなど、すべての区分所有者が利用可能な部分を指します。また、電気や水道の設備も共有部分(管理規約により範囲を限定している場合あり)に該当します。
区分所有者は、この共有部分に対してそれぞれが共有持分を持っています。
このときの共有持分の割合は、各区分所有者が持っている専有部分の割合、つまり専有部分の床面積の割合で決められている事が多くあります。管理規約によって専有部分の床面積割合と異なった共有持分割合が設定されている場合もあります。
3.土地の共有持分
土地の共有持分のことを、「敷地利用権」といいます。敷地利用権は、簡単にいうと専有部分を所有するために必要な土地の権利です。
建物の利用には、「土地を使用できる権利」が必要になります。そのため、区分所有者はそれぞれがこの「土地を使用できる権利」を持っていることになります。
結果として、土地の共有持分を持っていることになるのです。
この敷地利用権は部屋の専有部分とセットで扱われるため、専有部分である部屋の名義を変更する際には、敷地利用権の名義も同時に変更されるように敷地権設定がされている不動産が多くあります。
古いマンションは注意!敷地権の設定がないケースも
敷地権は、1983年に行われた区分所有法改正に合わせて制定されました。
そのため、1983年以前に建築されたマンションの中には、敷地権が設定されないまま現在まで残っているものもあります。
敷地権が設定されていない場合でも、売買取引自体は行えます。しかし、マンションの売買において以下のようなトラブルの原因になる可能性があります。
◆登記簿の取得や確認に時間がかかる
マンション売買の際には、区分所有している部分と敷地利用権を同時に売買するようにします。(購入者に不利益が生じるため)
敷地権が設定されている場合は、区分所有している部屋と敷地利用権の名義が同時に変更されますが、敷地権の設定がない場合はそうではありません。登記簿の申請を個別で行う必要があります。
また、敷地権の設定がなされていない場合、土地の登記簿には土地の所有者全員が記載されます。そうなると所有者全員分の情報を確認しなくてはならないため、時間がかかります。
◆管理組合がうまく機能していない可能性がある
1983年以前に建てられたマンションでも、今は敷地権の設定がされていることが多いです。
既存のマンションが改めて敷地権を設定するには、区分所有者全員の同意が必要になります。そのため、いまだに敷地権が設定されていない、となると管理組合がうまく機能していない可能性があります。
管理組合がうまく機能していないと、日々の管理や修繕も行き届いていない可能性があります。
中古でマンションを購入するときは、敷地権の設定がなされているかどうかを1つの確認ポイントにすることをおすすめします。
まとめ
共有持分と区分所有の違いは分かっていただけたでしょうか。
共有持分は1つの不動産を共有で所有することで、区分所有は1棟の建物を区分し、各部分に別個の所有権が成立している状態です。
区分所有者は、その建物に関して専有部分の所有権、共有部分の共有持分、土地の(準)共有持分の3つの権利を持っています。そのため、所有部分を売却する際は、これら権利を全て同時に売却することになります。
敷地権が設定されていないマンションの場合、売却の際にトラブルになりかねません。中古のマンションを所有する場合は、敷地権が設定されているかを事前に確認しましょう。
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