共有持分を相続したら？死亡時の手続きや税金、トラブル回避策を解説

不動産を共有している、または共有する可能性のある人で、共有者死亡によって相続が発生した際の手続きや税金、トラブル回避策について知りたいと考えている人は多いと思います。
共有者が亡くなった場合、自分の共有持分はどうなるのか、相続手続きはどうすればいいのか、相続税はかかるのか、トラブルを避けるにはどうすればいいのかなど、共有持分の相続に関する不安や疑問があるのではないでしょうか。

今回は、共有持分の相続に関する手続き、税金、トラブル回避策について、具体的な事例を交えながらわかりやすく解説します。
共有持分の相続について理解を深め、安心して手続きを進められるようにサポートします。

共有者が亡くなったら？持分はどうなる？

不動産を共有している場合、相手方が亡くなると、その共有持分は相続の対象となります。
妻や子供など相続人がいれば、割合を決め共有持分を受け継ぎますが、相続人がいない場合は、特別縁故者や他の共有者が取得する可能性があります。
共有持分の相続は、一見単純そうに思えるかもしれませんが、実はさまざまな法律や手続きが絡み、注意すべき点が数多く存在します。

1: 相続人の有無による違い
共有者が亡くなった場合、相続人の有無によって共有持分の扱い方が変わります。

・相続人がいる場合
相続人がいる場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、共有持分の相続者を決定する必要があります。遺産分割協議では、相続人全員が合意して遺産分割の方法を決めることが重要です。
合意が得られない場合は、家庭裁判所に遺産分割の審判を請求することができます。

・相続人がいない場合
相続人がいない場合は、特別縁故者や他の共有者が共有持分を取得する可能性があります。
特別縁故者とは、被相続人と生計を共にしていた者や、被相続人の療養看護をしていた者などを指します。
特別縁故者がいない場合は、他の共有者が共有持分を取得することになります。

2: 相続手続きの流れ
共有持分の相続手続きは、以下の流れで行われます。

相続人の確定：まず、亡くなった方の相続人を確定する必要があります。
相続人は、民法で定められた法定相続人となります。
法定相続人は、配偶者、子、親、兄弟姉妹などです。
被相続人の出生から死亡までの戸籍を取得し相続人を確定しましょう。

遺産分割協議：相続人が複数いる場合は、遺産分割協議を行い、相続財産をどのように分けるかを決める必要があります。
共有持分は、相続人それぞれに割り振る、または代表者一人に相続させるなどを遺産分割協議により決めます。

相続登記：遺産分割協議がまとまったら、相続登記を行います。
相続登記は、不動産の所有権を相続人に移転するための登記です。
相続登記は、司法書士に依頼するのが一般的です。

3: 具体的な例
例えば、AさんとBさんが不動産を共有しており、Aさんが亡くなったとします。
Aさんには、妻であるCさんと息子であるDさんがいます。
この場合、Aさんの共有持分は、CさんとDさんが相続します。
CさんとDさんは遺産分割協議を行い、Aさんの共有持分をどのように分けるかを決めます。
その後、CさんとDさんは、遺産分割協議で決めた通りに相続登記を行います。

共有持分の相続手続き、具体的な流れは？

1: 相続人がいる場合の手続き
相続人がいる場合は、遺産分割協議によって共有持分の相続者を決定します。
遺産分割協議は、相続人全員で行う必要があります。
相続人全員が合意できれば、遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議書には、相続財産の内容、相続人の氏名、相続分などが記載されます。
遺産分割協議書に相続人全員が署名、実印での捺印を行い、印鑑証明書を添付します。
遺産分割協議書が作成されると、相続登記を行うことができます。

2: 相続人がいない場合の手続き
相続人がいない場合は、相続財産管理人が選任されます。
相続財産管理人は、相続財産の管理、処分などを代行します。
相続財産管理人は利害関係人又は検察官が被相続人最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てて選任されます。
共有者は利害関係人として申立てが可能です。
その後、共有持分は特別縁故者に相続財産分与又は、他の共有者に帰属される事になります。

3: 特に注意すべき点
共有持分の相続手続きは、法律の専門知識が必要となる場合が多く、相続人同士でトラブルになるケースも少なくありません。
そのため、共有持分の相続手続きを行う際には、専門家である弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。
弁護士や司法書士は、相続手続きのアドバイスや、遺産分割協議書の作成、相続登記の手続きなどをサポートしてくれます。

共有持分の相続税、気になる計算方法は？

共有持分の相続には、相続税がかかる場合があります。
相続税は、相続財産全体を対象に行い、相続人の数や財産の評価額によって異なります。
相続税の計算方法を理解することで、相続税の負担を軽減できる可能性があります。

1: 相続税の基礎控除
相続税には、基礎控除が適用されます。
基礎控除額は、3,000万円＋600万円×相続人の数で算出されます。
例えば、相続人が2人の場合は、3,000万円＋600万円×2人＝4,200万円の基礎控除が適用されます。
基礎控除額を超えた部分に対して、相続税が発生します。

2: 相続税率
相続税率は、相続財産を法定相続分で各々取得したと仮定して課税対象となる各人の相続財産金額によって異なります。
10％から55％まで、10段階に分けられています。財産が多いほど高くなります。
また基礎控除の他に配偶者の税額軽減・未成年者控除などの各控除があるので注意しましょう。

3: 相続税の計算例
例えば、Aさんが単独で1億円の相続財産を相続した場合、相続税の計算は以下のようになります。

・相続税の課税対象となる財産：1億円
・相続税の基礎控除額：3,000万円
・相続税の課税対象となる金額：1億円-3,000万円＝7,000万円
7,000万円の相続税は、相続税率によって計算されます。
相続税率は、財産額によって異なりますが、上記金額の場合は20％となります。
この場合、相続税額は、7,000万円×20％＝1,400万円となります。
＊配偶者の税額軽減などの控除関係が無かった場合

共有持分の相続トラブル、どうすれば防げる？

共有持分の相続は、トラブルになる事があります。
トラブルを防ぐためには、生前に遺言書を作成したり、生前贈与を行ったり、家族信託を利用したりすることが有効です。

1: 遺言書の作成
遺言書を作成することで、共有持分の相続者を指定することができます。
遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言など、いくつかの種類があります。
遺言書を作成する際には、遺言書の種類や作成方法、内容などについて、専門家である弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。

2: 生前贈与
生前贈与は、相続前に共有持分を譲渡することです。
生前贈与を行うことで、相続税の負担を軽減することもできます。
生前贈与を行う際には、贈与税が発生する可能性があるので注意が必要です。
贈与税の税率は、贈与額によって異なります。

3: 家族信託
家族信託は、信頼できる人に財産の管理を委託する制度です。
自身が高齢になり難しい判断が困難になる場合に備えて家族信託を利用することで、共有持分の相続トラブルも回避することができます。
家族信託は、専門知識が必要な制度です。
家族信託を利用する際には、専門家である弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。

まとめ

共有持分の相続は、複雑な手続きやトラブルのリスクが伴うため、事前にしっかりと準備しておくことが大切です。
相続人がいる場合は、遺産分割協議をスムーズに進め、相続登記を速やかに完了させることが重要です。
相続人がいない事が分かった場合は、相続財産管理人を選任し、特別縁故者がいないかなどを適切に把握し手続きを進める必要があります。
共有持分の相続税は、相続財産全体を対象に計算されます。
相続税の基礎控除額や税率を理解し、相続税の負担を軽減するための対策を検討することが重要です。
共有持分の相続トラブルを回避するためには、生前に遺言書を作成したり、生前贈与を行ったり、家族信託を利用したりすることが有効です。
共有持分の相続は、専門知識が必要な手続きです。
相続手続きを行う際には、専門家である司法書士や弁護士に相談することをおすすめします。