住宅の持分割合はどうやって決める?夫婦でペアローンを組む方法は?解説します!

2024.09.27

目次

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はじめに

不動産を購入・売却する機会がある方は、不動産関係の専門用語について少しでも知っておくことが大切です。

特に住宅ローンなど、金融機関が絡んでいるものについては、お金を借りる前にある程度知識をつけておくことで、トラブルを回避できることがあります。

もし今、ご夫婦で住宅ローンを契約されようとしているなら、離婚などで、ご夫婦で契約した住宅ローンを解約しなければならなくなった時、どのように対処すればいいかご存知でしょうか。

今回の記事では、

◆ご夫婦で住宅ローンを購入する際に知っておきたい基礎知識
◆ご夫婦での住宅ローンの組み方
◆離婚等でローンを解約する場合の対処法

についてご紹介します。

◆◇◆離婚で共有名義を解消したい方はこちら◆◇◆

共有持分とは?

不動産における共有持分とは、複数人が共有で所有している不動産に対して、複数人の所有者がそれぞれ持つ不動産所有権の割合を指します。

共有して所有している不動産の所有者を「共有名義」と呼び、対象の不動産は共有名義の「共有物」となります。

例えば、夫婦で不動産を共有持分で購入するとします。夫婦で購入資金5000万円を2500万ずつ支払うと、共有持分は2分の1ずつになり、夫婦での共有名義となります。

購入した住宅が、夫婦の共有物なのです。共有持分は権利上のものであり物理的なものではありません。

住宅を使用する際には、住宅が共有物なので持分割合に関わらず全てを使用できます。

持分割合とは、共有物の所有権の割合のことです。

持分割合は適当に決めないで!

住宅を共有持分で購入する際、住宅ローンの持分割合を気にする必要があります。

名義人それぞれが共有物をどれだけの割合で所有するかは、住宅への出資額割合で決まるからです。

持分割合を適当に決めると、余計な費用が発生する場合があります。

それが”贈与税”です。

持分割合を決めて贈与税が発生するのは、以下の2つのパターンです。

1.実際の負担割合と登記上の所有権割合が異なった場合

複数人で不動産を購入する場合、法務局で共有持分を登記しなければいけません。

この時、所有権登記で登記した持分割合と、実際に負担した持分割合に差があると、差額分を贈与したとみなされ、贈与税が発生します。

そのため所有権登記はないがしろにせず、負担した通りの持分割合を正しく登記しなければいけません。

負担した割合が綺麗な数字に割り切れない場合の処理方法については、別の記事でご紹介しています。是非そちらもご覧ください。

2.不動産購入後に持分割合を変更する場合

不動産を購入する売買契約時には、夫の名義のみで契約をして、決済(最終代金支払い)を迎える前に妻側も資金を出す事になり、共有名義にしようというお話は多くあります。

そこで注意が必要なのは、単独で契約していた不動産の名義を共有名義で登記すると、贈与税が発生するということです。

これは、もともと単独で契約していた不動産の名義が2つになるので、新しい名義へ贈与が発生したとみなされるからです。

贈与とみなされない為にも、登記が行われる前に契約書への名義追記も忘れずに行ってください。

また、単独で住宅ローンを組んでいる際に、名義人ではない人が住宅ローンを返済すると、現金贈与とみなされて贈与税が発生します。

不動産購入後のリフォームにも持分割合は適用され、リフォーム代はきちんと持分割合に合わせて支払う必要があります。

このように不必要な費用を生まないためにも、まずは適当に共有割合を決めないように意識しましょう。

共有持分で住宅ローンを組むメリット

ここまで共有持分で住宅ローンを組むことを前提に解説してきました。

そもそも共有持分で住宅ローンを組むことに、どのようなメリットがあるのでしょうか。

◆住宅ローンの借入金額を増やせる

単独名義で住宅ローンを組むと、1人分の収入しか審査対象になりません。

しかし、夫婦共有持分で住宅ローンを組めば共働き夫婦それぞれの収入を合算して審査してもらえます。

結果的に住宅ローンの借入金額を増やせるので、住宅の購入資金を大幅に増やせるのが魅力です。

◆それぞれが「3000万円特別控除」を受けられる

「3000万円特別控除」とは、 住宅を売却した際に出た売却益に対し、最大3000万円の税金支払いを免除される制度です。別の言い方で、「居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除の特例」ともいいます。

巨額の節税が叶う3000万円特別控除が2倍で適用されるのは、夢のあるメリットです。

勿論特別控除を受けるための適用要件はありますのでよくご確認ください。

ペアローンだけじゃない!共働き夫婦の住宅ローンの組み方3選

住宅ローンの組み方はご家庭のライフスタイルに合わせてさまざまですが、中でも夫婦が共働きの場合におすすめの組み方を3つご紹介します。

1.単独契約

一般的に、ご夫婦のうちどちらかが収入の大半を担っており、どちらかが被扶養者である場合は、単独契約を選択します。

被扶養者は住宅ローンを申し込めないため、単独契約のみ選択できます。

2.収入合算

ご夫婦で働いているものの、お2人で収入に差があるご家庭では、収入合算での住宅ローン契約がおすすめです。

これは、収入が多い方を主債務者、少ない方を連帯保証人として契約する方法です。収入合算すると単独契約より借入できる金額が多くなるので物件選びの幅が広がります。

ただし、連帯保証人になる方も年収要件があります。

このタイプの場合団体信用生命保険に加入できるのは主債務者の方だけになります。連帯保証人になる方に万一があっても団体信用生命保険は適用になりませんのでご注意ください。

連帯保証人の方は住宅ローン控除の適用もありません。

3.ペアローン

ご夫婦がどちらもある程度の収入を安定して得ている場合は、ペアローンがおすすめです。

これは、住宅ローンをご夫婦それぞれが契約し、それぞれの契約に対して相互に連帯保証人になる方法です。

ペアローンで契約するとご夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられるほか、夫婦がおのおの団体信用生命保険に加入できるので、どちらかに万一があり住宅ローンを返済できなくなった時にも安心です。

離婚時に共有名義の住宅ローンが残っている場合の対処法

共有名義を持つ夫婦が事情により離婚することになった場合、それぞれがまだ住宅ローンを完済し終えていないことがあります。

この場合、対処法は住宅に住み続けるか住宅を売却するかで異なってきます。

◆住宅に住み続ける

住宅ローンの返済を終えない状態で夫婦のどちらかが住宅に住み続ける場合、住宅ローンの支払いは「それぞれが払い続ける」か、「名義を統一して単独名義に変更する」かの2つのパターンがあります。

・それぞれが払い続ける場合

離婚してどちらかが家に残ることになっても、住宅ローンはそれぞれで払い続けられます。

ただし、ペアローンはお互いが連帯保証人になっているので、どちらかがローン返済を滞納すると連帯保証人に一括で支払いを求められるので注意が必要です。

本当にきちんとそれぞれが払い続けられるか、お互いきちんと話し合っておきましょう。

・単独名義に統一する場合

現在の住宅ローンを完済する、又は返済能力が単独名義で可能と銀行に認められないと単独名義にする意味がありません。(所有者名義は変わっても住宅ローン名義が残ってしまう)

そのため、もし単独名義に変更したい場合はまず、資金をやりくりして片方の住宅ローンを完済しましょう。

または、ローンの借り換えを行って片方のローンを完済し、片方の分を買取る資金を新たに借り入れる、という方法もあります。しかし、金融機関の審査が通るか不透明ですし、負担が大きくなるのでおすすめはできません。

◆住宅を売却する

離婚に伴い住宅を売却することも検討する必要があります。

共有持分の住宅を売却する際には、まずは売却益の査定額が住宅ローンの残債を上回っているかどうかを確認します。

もし売却益が住宅ローンの残債を上回っていれば問題ありませんが、住宅ローンの残債の方が多い、いわゆる”オーバーローン”状態では、少し話が難しくなります。

住宅ローンが残ったままの住宅は、売却が基本出来ません。できるだけ売却と同時に住宅ローンを完済するように計画しましょう。

金融機関に任意売却(住宅ローン残債以下の金額でしか売却が出来ない場合でも、金融機関から提示された条件のもと不動産を売却する)の提案をする方法もあります。

しかし、ローンの返済が遅れていないと金融機関が任意売却を認めていただけない場合が多く、また金融機関からの信頼を失うので、利用は可能な限り避けるようよく検討するようにしてください。

◆◇◆「離婚」による共有持分でお悩みの方はこちら◆◇◆

まとめ

住宅を夫婦で購入する際は、夫婦それぞれが資金を出し合って不動産を共有物として所有できる、共有持分という方法があります。

共有持分にすると収入合算で住宅ローンの借入額を増やせたり、それぞれが3000万円特別控除を受けられたり住宅ローン控除もそれぞれ受けられるといった優遇を受けられ、負担が少なくなるのが魅力です。

ただし共有持分は住宅の所有権として住宅の購入からリフォーム費用まですべてに適用されるので、適当に決めてはいけません。申告した持分割合と実際の持分割合が異なっていると、贈与とみなされて贈与税が発生します。

共有持分の不動産を持つご夫婦が離婚する場合の注意事項や対処法もご紹介しております。キーワード検索画面より、「離婚」と検索いただき、他の記事もぜひ参考にしてみてください。

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