被相続人が不動産の共有持分を所有していた際に難解な遺産分割協議書!その作成方法や記載例をご紹介
2024.09.24
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はじめに
故人(被相続人)が不動産の共有持分を所有していた際に、遺産分割協議書はどのように記載したらよいでしょう。
この遺産分割協議書には、決まった書式がありません。そのため、作成時に記載内容やフォーマットに悩んでしまう方が非常に多いです。
そこで今回は、遺産分割協議書の作成方法や記載内容、記載例を紹介します。
最後に、作成時の注意点についてもご紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
被相続人が不動産の共有持分を所有していた際に遺産分割協議書へ記載する事とは?
そもそも遺産分割協議書がどのようなものであるかご存知でしょうか。ここでは、遺産分割協議書の意味と目的、必要な場面についてご紹介します。
◆遺産分割協議書とは
遺産分割協議書とは、故人(被相続人)が残した財産を法定相続人がどのように分割したかを明記した書類のことです。
この遺産分割協議書は、必ず作成しなければならないものではありません。
しかし、遺産分割協議書を作成しておけば、後々起こり得る相続トラブルを回避できたり、行政・金融手続きが楽になるなど、様々なメリットがあります。
では、この遺産分割協議書は、どのような場合に作成する必要があるのでしょうか。次に、遺産分割協議書の作成が必要な状況について解説します。
◆遺産分割協議書が必要な場合とは
相続登記で遺産分割協議書が必要かどうかは、状況により様々です。
具体的には以下の状況であれば、遺産分割協議書が必要、又はあった方が断然手間がかかりません。
・不動産を法定相続割合以外で相続登記するとき
・法定相続割合以外で遺産が分割され相続税の申告をするとき
・預金口座が多い場合
・相続人間でトラブルが予想される場合
・遺言書が法的に無効になった場合
ただし、相続人が1人の場合や遺言書の通りに遺産分割する場合、相続人全員が法定相続割合で不動産を相続する場合には、遺産分割協議書は必要ありません。
遺産分割協議書の作成方法
遺産分割協議書は、以下のステップで作成されます。
1.相続人調査
2.相続財産調査
3.相続人全員で話し合い
ここでは、各ステップの内容や注意点について解説します。
1.相続人調査
遺産分割協議書の作成に限らず、すべての相続手続きに先立って行う必要があるのが、相続人調査です。
被相続人の法定相続人は誰なのか、そして各人がどれだけの権利を持つのかを出生から死亡までの戸籍謄本(場合により除籍謄本、改正原戸籍謄本)などを確認し、確定させましょう。
2.相続財産調査
相続人調査と並行して行いたいのが、相続財産調査です。
相続財産とは、被相続人名義になっていたすべての財産的価値のあるものであり、具体的には不動産、預貯金、現金、有価証券(株式等)、動産(自動車や価値のある絵画、骨董品等)などを指します。
相続財産を一通り洗い出したら、分かりやすくまとめて次のステップに進みましょう。
3.相続人全員で話し合い
遺産分割協議は、家庭裁判所で正式な相続放棄をした人を除いて、必ず法定相続人全員で行う必要があります。
協議の方法としては、直接会って行う形でも、電話やメールなど他の手段でも問題ありませんが、全員が内容を理解、納得した上で遺産分割協議書に実印を押印し、印鑑証明書を添付することではじめて遺産分割協議が完了となります。
遺産分割協議書に記載すべき内容とは?
遺産分割協議書に記載すべきなのは、以下の内容です。
・死亡した人の情報(氏名、本籍地、住所、生年月日、死亡年月日)
・相続人全員で遺産分割協議を行ったこと
・各財産の名義人となる相続人氏名
・相続登記をする不動産に関する情報及びその他財産目録
・補足的な条項
・締めの文言
・日付・住所・署名・押印
それでは次に、その具体的な記載例を見ていきましょう。
遺産分割協議書の記載例をご紹介!
ここでは、実際の遺産分割協議書記載例をご紹介します。
遺産分割協議書
被相続人 田中太郎
生年月日 昭和○年○月○日
本 籍 東京都世田谷区○町○丁目○番地
住 所 東京都世田谷区〇町〇丁目〇番〇号
死亡年月日 令和〇年〇月〇日
令和○年○月○日上記被相続人田中太郎の死亡により開始した相続における共同相続人全員は、民法908条に基づく遺言による分割の指定及び禁止のないことを確認したうえで、被相続人の遺産を協議により下記のとおり分割する。
1.次の不動産は田中花子が相続する。
所 在 世田谷区○町○丁目
地 番 ○番○
地 目 宅 地
地 積 ○○・○○㎡ 此持分2分の1
所 在 世田谷区○町○丁目 ○番地○
家屋番号 ○番○
種 類 居 宅
構 造 木造スレート葺2階建
床 面 積 1階 ○○・○○㎡
2階 ○○・○○㎡ 此持分2分の1
2.相続人全員は、本協議書に記載する以外の遺産全てを、田中花子が取得することに同意した。
上記のとおりの協議が成立したので、この協議の成立を証明するため本協議書を相続人3名分作成する。
令和○○年○○月○○日
東京都世田谷区○町○丁目○番○号
田中花子 (実印)
東京都世田谷区○町○丁目○番○号
田中次郎 (実印)
東京都世田谷区○町○丁目○番○号
田中三郎 (実印)
遺産分割協議書作成時の注意点
ここまで、遺産分割協議書の内容や書き方について解説しました。そこで最後に、遺産分割協議書作成時の注意点を3つご紹介します。
◆財産の記載漏れがないようにする
遺産分割協議書作成後に見つかったなどの理由で遺産分割協議書に記載されていない財産は、遺産分割協議が行われてないという事になり、法定相続分によって分割する、もしくはもう一度遺産分割協議を行い取得する人を決める必要があります。
補足ですが、生命保険金や死亡退職金は受取人が指定されており、受取人固有の財産になりますので遺産分割の対象になりません。
しかしどれだけよく確認しても、財産の見落としは起こり得るものです。後の手間を減らすために、遺産分割協議書には「本協議書に記載のない遺産及び後日判明した遺産については、相続人○○がすべて取得する。」などの条項を入れておくと良いでしょう。
◆相続人の氏名は手書き、押印は実印で
財産分割協議書に署名を行う際は、手書きで行いましょう。印字では、相続手続きを受け入れてもらえない可能性があります。
また、金融機関や不動産登記などの相続手続きでは、遺産分割協議書と印鑑証明書はセットで提出を依頼されるため、押印は実印で行う必要があります。
「自署」と「実印」の2つで、セキュリティや法的効力を強化させましょう。
◆遺産分割協議書が複数ページに及ぶ場合は製本・割印する
遺産分割協議書が複数枚になる場合には、改ざん防止のために製本と割印をするのがおすすめです。
製本の際には、表紙と裏表紙共に製本テープと用紙の境に割印をし、全ページの見開き部分には両ページにまたがるように遺産分割協議書に押印したすべての印鑑で割印をします。
まとめ
故人(被相続人)が残した財産を法定相続人がどのように分割したかを明記した書類である遺産分割協議書。
今回は、そんな遺産分割協議書の作成方法や記載例についてご紹介しました。
遺産分割協議書の作成は、相続人調査、相続財産調査、相続人全員で話し合いという3つのステップで進められます。
遺産分割協議書の記載内容、注意点はそれぞれ以下の通りです。
記載内容
・死亡した人の情報(氏名、本籍地、住所、生年月日、死亡年月日)
・相続人全員で遺産分割協議を行ったこと
・各財産の名義人となる相続人氏名
・相続登記をする不動産に関する情報及びその他財産目録
・補足的な条項
・締めの文言
・日付・住所・署名・押印
注意点
・財産の記載漏れがないようにする
・相続人の氏名は手書き、押印は実印で
・遺産分割協議書が複数ページに及ぶ場合は製本・割印する
・各相続人が財産の名義変更をし易い様に相続人数分作成する
今回ご紹介した内容を確認し、法的効力のある遺産分割協議書を作成しましょう。
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