相続で取得した共有持分を自分で名義変更する手順|費用や必要書類を詳しく解説!

2024.12.04

目次

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はじめに

相続によって共有持分を取得した場合、名義変更の手続きが必要です。

この記事では、名義変更に必要な手順や書類、費用について分かりやすく解説します。自分で手続きする方法だけでなく、専門家に依頼する場合のポイントも取り上げます。

この記事を参考に、スムーズな名義変更を実現しましょう。

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相続で取得した不動産の名義変更の流れ

相続によって不動産を取得した際は、法律上、その不動産の名義を相続人の名前に変更する手続きが必要です。

この名義変更は、法務局で行われる「登記」の一種であり、適切に行わないと所有権の証明が難しくなる場合があります。以下では、名義変更の流れを順を追って説明します。

◆名義変更に必要な基本的な手続き
名義変更は以下のステップで進めます。

1. 相続人の特定:被相続人の出生から死亡までの戸籍をたどり、すべての相続人を確定します。
2. 遺産分割協議書の作成:複数の相続人がいる場合、誰がどの財産を受け取るかを決定します。
3. 必要書類の収集:名義変更に必要な書類(後述)を揃えます。
4. 移転登記申請:法務局で共有持分の移転登記を申請します。

遺産分割協議が済んでいない場合は、全相続人の合意が取れるまで手続きを進められません。そのため、協議書の作成が最初の大きな関門となります。

◆不動産の共有持分の移転登記とは
共有持分とは、不動産の所有権を複数人で分割して持つ形です。相続でこの持分を取得した場合、法務局で「共有持分移転登記」を行う必要があります。

これは、その不動産の権利の一部を自分の名義に変更する手続きです。

共有持分移転登記の重要なポイントは、必ず正確な持分割合を記載すること(例:1/2や1/3)と全ての相続人で手続きを進める場合、他の相続人の同意が必要な場合があることです。

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名義変更に必要な書類と収集方法

名義変更を円滑に行うには必要な書類を正確に揃えることが大切です。以下が、主要な書類と収集方法です。

◆相続人の戸籍謄本と住民票の準備
まず通常必要になるのは、相続人と被相続人の戸籍謄本です。

・被相続人の戸籍謄本:出生から死亡までの一連の記録が必要です。
・相続人の戸籍謄本:相続権を証明するために用います。
・住民票:登記名義人として登録するために必要です。

これらの書類は、各自治体の役所で取得できます。取得には通常、数日かかるため早めの準備をおすすめします。戸籍に記載された事項によっては別の書類が必要となる事もあります。
ご不安な場合は司法書士などの専門家へ相談しましょう。


◆登記申請書の作成と提出
登記申請書は法務局のサイトからダウンロード可能です。作成時の注意点は以下の通りです。

・所有権移転の内容を正確に記載する。
・不動産の所在地や不動産番号を明記する。
・記載ミスがあると手続きが遅れるため、専門家の確認を受けるのも有効です。

法務局への提出は窓口または郵送で行います。手続きの進捗確認を忘れずに行いましょう。

相続に伴う名義変更の費用

相続に伴う名義変更には、必ず発生する法定費用と、依頼する専門家によって変動する任意費用の2種類があります。

法定費用には、登録免許税や必要書類の発行手数料などが含まれ、これは法律で定められた支払いが必要です。一方で、司法書士や弁護士などに手続きを依頼する場合には、別途その報酬も考慮する必要があります。

この記事では、名義変更にかかる主な費用の内訳や計算方法について詳しく解説します。費用を正確に把握し、適切に予算を立てることで、スムーズに名義変更を進められるようにしましょう。

◆名義変更にかかる主な費用の内訳と計算方法

1.登録免許税
まず、相続した不動産の名義を変更する際に必ず支払う必要がある法定費用として、登録免許税があります。この税金は、法務局での移転登記を行う際に課されるもので、固定資産税評価額に基づいて計算されます。

【登録免許税の計算方法】
登録免許税の税率は、通常「固定資産税評価額の0.4%」です。たとえば、固定資産税評価額が3,000万円の不動産でご自身の共有持分が1/3の場合、登録免許税は以下のように計算されます。

3,000万円×1/3=1,000万円 × 0.004 = 4万円

この税金は一括で納める必要があるため、名義変更前に正確な評価額を確認しておきましょう。

2.必要書類の発行手数料
名義変更に必要な書類には、戸籍謄本、住民票、固定資産評価証明書などが含まれます。これらの書類を取得する際に、それぞれ数百円から数千円の手数料が発生します。

書類が多い場合は、合計額が増える可能性があるため、必要な通数を事前に確認しておきましょう。

◆司法書士報酬(任意)
名義変更を専門家に依頼する場合、司法書士に支払う報酬が発生します。この費用は任意ですが、書類の作成や手続きが複雑で自分で対応するのが難しい場合に役立ちます。

司法書士報酬は、地域や案件の複雑さによって異なります。目安として、名義変更の基本報酬が5万円~10万円、その他の手続きや相談費用が1万円~3万円です。

専門家に依頼する際には、見積もりを取ることをおすすめします。また、複数の事務所に相談して、信頼がおけて納得のいく費用感で依頼できるところを選びましょう。

名義変更にかかる費用は、事前の準備と計画が鍵です。次のステップを進める前に、これらの内容を参考にして、手続きを円滑に進めるための準備を整えましょう。

不動産の共有名義を単独名義に変更する方法

不動産を共有名義から単独名義に変更する場合、いくつかの方法があります。

これには、共有者全員の同意を得る必要があり、手続きや税務面での注意が求められます。以下では、共有名義を単独名義に変更するための具体的な方法を解説します。

◆全員の同意による単独名義化
共有名義の不動産を単独名義に変更する場合、最も基本的な方法は、共有者全員の同意を得ることです。全員が合意すれば、不動産の持分を譲渡したりすることで、単独名義を実現することができます。

この場合、譲渡する側と受ける側で金銭の授受が発生することもあり、その場合には贈与税や譲渡所得税が発生する可能性があるため、税務面での確認が重要です。

贈与税の影響として、共有者から持分を譲り受ける場合、その譲渡が「贈与」とみなされることがあります。贈与税がかかる場合、年間110万円までの基礎控除を超えると、課税対象となります。

また、譲渡所得税の影響として、共有持分を売却する場合、売却益に対して譲渡所得税が課せられます。このため、売却金額や評価額について十分に考慮する必要があります。

不動産以外の財産があれば不動産はAの単独名義に、預金はBが全額相続、株式はCが全額相続などで譲渡所得税や贈与税の対象にならない分割ができます。相続財産全体の評価額を整理する事が重要となります。


共有者全員の同意を得るには、通常、書面で合意を交わし、その後、名義変更手続きに進むことが一般的です。

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◆遺産分割協議書の作成
共有名義を単独名義に変更する際には、遺産分割協議書が不可欠です。

遺産分割協議書は、相続人全員が合意した内容を記録する文書であり、登記の際に提出しなければなりません。以下の注意点を参考にして、作成します。

・全相続人の署名と押印:協議書には、相続人全員の署名と押印が必要です。もし相続人の一部が署名を拒んだ場合、協議が成立しないため、手続きが進められません。

・協議内容の記載:どの相続人がどの財産を受け取るか、どの持分を譲渡するかを明確に記載します。共有名義を単独名義にする場合も、この協議書でその旨を記載します。

遺産分割協議書を作成する際には、専門家(司法書士や弁護士)に相談すると、法的に問題のない内容に仕上げることができます。

相続と名義変更の注意点

相続手続きは複雑であるため、名義変更の際にはいくつかの注意点を抑えておくことが重要です。誤った手続きを避け、トラブルを防ぐためには、以下の点を確認しておく必要があります。

◆名義変更までの流れと注意点
相続手続きから名義変更までの流れを簡潔に説明すると、以下の順番になります。

1. 遺言書の確認: 被相続人が遺言書を残している場合、その内容に従って相続手続きを進めます。

2. 遺産分割協議: 相続人全員で遺産分割協議を行い、誰が何を相続するかを決定します。協議内容を記録した遺産分割協議書を作成します。


3. 必要書類の収集: 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人の戸籍謄本、相続人の住民票、固定資産評価証明書など、必要書類を準備します。

4. 名義変更申請: 最後に法務局で登記手続きを行い、名義変更を完了させます。

注意点として、相続による名義変更の期限は、相続発生から 3年以内に行う必要があります。

正当な理由なく3年を過ぎると、登記官より裁判所へ過料の申立てがなされる可能性があります。これは令和6年4月1日より相続登記が義務化された為です。

また、名義変更と相続税の関係についても注意が必要です。相続税申告を行う際には、税理士に相談して適切な申告を行いましょう。

◆リスク管理と対策
名義変更の際には、以下のリスク管理を行うことが重要です。

・相続人間の争いを避ける:相続人間での争いを避けるため、遺産分割協議を丁寧に進め、早期に合意を得ることが大切です。争いを未然に防ぐために、弁護士のアドバイスを受けることも効果的です。

・税金のリスク:相続税や贈与税など、税金に関するリスクを避けるためには、税理士と連携し、適正な手続きを行うことが求められます。

・名義変更手続きの遅延:名義変更手続きが遅れると、不動産の管理コストや責任の所在、将来的な売却や担保設定など問題が起きる事があります。早めに手続きを進め、名義変更を完了させましょう。

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専門家へ依頼するか自分で行うかの判断基準

相続による不動産の名義変更は、専門家に依頼するか、自分で手続きを進めるかを選ぶ必要があります。それぞれのメリットと注意点を理解し、状況に応じた選択をしましょう。

◆専門家に名義変更を依頼する場合のメリット
司法書士や弁護士に依頼すると、不動産登記や相続手続きに関する豊富な知識と経験を持っているため、手続きがスムーズに進みます。書類の不備や記入ミスを防ぎ、登記手続きがスムーズに進行します。

特に被相続人の出生から死亡までの戸籍を収集する際、多数の役所へ申請が必要な場合は労力と時間を大幅に削減できます。

また、税理士と連携して、相続税や贈与税に関するアドバイスを受けることができ、税務リスクを軽減できます。

◆自分で名義変更を行う場合の注意点
自分で名義変更を行う場合、不動産登記や相続手続きについての基本的な知識が必要です。分からない点は法務局や専門家に相談しましょう。

また、書類の収集や申請書の作成に時間がかかるため、手間を避けるためには計画的に進める必要があります。

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相続税と名義変更の関係|必要書類と申告期限

名義変更と相続税には密接な関係があり、正確に理解しておくことが大切です。

相続税は、相続によって取得した財産に対して課税される税金です。名義変更を行う前に、相続税が発生するかどうか、税額はいくらになるかを確認する必要があります。

相続税の申告に必要な主な書類は以下の通りです。

・遺産分割協議書
・被相続人の戸籍謄本
・相続人の戸籍謄本
・固定資産税評価証明書

相続税申告は、相続発生から10ヶ月以内に行う必要があります。名義変更を行わずに相続税申告を遅延させると、加算税が発生することがありますので注意が必要です。

まとめ

相続で取得した不動産の名義変更は重要な手続きで、適切に行わないと後々問題が生じる可能性があります。

名義変更を進めるには、基本的な手順や必要書類を理解し、法務局での申請を行うことが大切です。必要書類として、相続人の戸籍謄本や住民票、登記申請書などがあります。また、相続に伴う登録免許税や司法書士への報酬などの費用も考慮しなければなりません。

不動産の共有名義を単独名義に変更する場合、全員の同意や遺産分割協議書の作成が必要です。相続税については、申告期限を守ることが重要で、税務上のリスクを避けるために早めに準備することが求められます。

手続きが複雑な場合、専門家に依頼するのも一つの選択肢です。名義変更は不動産の権利関係を整理するために不可欠な手続きですので、計画的に行うことが重要です。

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